用途変更(コンバージョン)といえば、申請から施工までさまざまなステップがあり、費用も時間もそれなりにかかってしまうのが現実です。「面倒だし、別に用途変更はしなくてもいいか」と考える方もいるかもしれません。しかし、用途変更の手続きは法律で定められたものであり、新築と比較してもメリットは多いのです。今回は、用途変更の重要性やメリットについて解説します。
■用途変更の重要性
用途変更が重要なのは、建物を安全に使うための基準が、建物の用途によって異なるからです。病院や学校のように大勢の人が集まる建物であれば、それに応じた換気機能や避難通路を確保しなければなりません。飲食店なら、衛生面の問題をクリアする必要もあるでしょう。
そのため手続きを行わずに建物の使い道を変更すると、必要な基準を満たさないまま建物が使われてしまう可能性があります。これは安全の面で非常に問題があるので、用途変更手続きが義務付けられているのです。手続きを怠った場合、最大で3年以下の懲役または300万以下(建物所有者が法人の場合は1億円以下)の罰金が科されます。
また、近年問題になっている空き家の増加への対策としても、用途変更は重要です。古民家のリノベーションは近年人気を集めていますが、再生した空き家に別の家から引っ越してしまっては、結局空き家の数は変わりません。しかし、空き家を住宅以外の用途で使用すれば、住宅の総数=空き家を減らすことができます。
■用途変更のメリット
用途変更は手続きが複雑なので、「いっそ建物を新築で作ってしまった方が早いのでは?」と考える方もいると思われます。しかし、用途変更には新築にはないメリットがたくさんあるのです。空き家対策になるのはもちろんですが、他にはどのようなメリットが考えられるでしょうか。
1番の魅力は、やはり古い建物のデザインが大きな付加価値になることでしょう。古民家の再生が典型的なケースで、古きよき日本の美しさを残しつつ、近代的な設備を取り入れることができます。実際に長い年月を経てきた建物の味わいは、簡単に再現できるものではありません。
また、新築に比べて費用を抑えられるのもメリットです。古い建物でも、基礎や骨組みは意外としっかりしていることが多く、亀裂や腐食などがなければ十分使用できます。こういった建物の大枠の工事が必要ない分、費用が安くなるのです。このような方法を「スケルトンリフォーム」といいます。
もちろん、基礎や骨組み以外の部分も問題ないのであれば、そのまま使用することが可能です。建物の劣化具合や用途変更の目的に応じて、どのような工事を行うかを決めるといいでしょう。
■用途変更の今後
用途変更の重要性やメリットを考慮すると、その件数はどんどん増えていいように思えます。しかしながら、国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」によれば、建設業者が受注した工事を目的別に分類した場合、用途変更の割合は1%程度です。これは非住宅建築物に限った話であり、住宅建築物も含めるとさらに割合は低くなります。
したがって、用途変更の件数は非常に少ないといわざるをえません。その理由の1つは、地域的な制限などによる用途変更許可の得にくさではないでしょうか。そのため国土交通省でも、2016年に「開発許可制度運用指針」を一部改正しました。改正の目的は、特定の区域内で用途変更をしやすくし、空き家を観光振興や集落の維持のために活用しようというものです。
今後は、空き家を活用した飲食店や民泊施設などの増加が期待されます。もちろん、いくら許可が得やすくなったとしても、手続きが必要であることに違いはありません。用途変更の際は、建築士に依頼して正確な手続きを取りましょう。
■申請から設計、施工までワンストップ!用途変更のCABON
東京都江戸川区の株式会社CABONでは、一都三県で用途変更の工事を手掛けています。農村地帯の古民家、繁華街の空きビル、オフィス街の空き事務所など、あらゆる建物の用途変更が可能です。まだまだ使える空き家を生まれ変わらせて、新たな事業を始めてみませんか? 一級建築士も所属しておりますので、ぜひお気軽にご連絡ください。